| 夜、カメラを手に、歌舞伎町から区役所通りへ、そして大久保通りを新大久保駅へと歩いていくとき、
ぼくはときおり背すじがスッと寒くなる思いがする。とくに何が起きたというわけでもないのに、どこかでひるむ自分を感覚する。
新宿の裏町が確実に陰悪化しつつあることが肌で分かる。ネオンやイルミネーションのもとで、路地裏の暗がりのなかで、人々は影の存在となって蠢いて映る。
ぼくが手にする小さなカメラの視線に、それら影となった人々の、昆虫のように敏感な反応が電流となって伝わってくる。
緊張感でぼくの身体の細胞が少しざわつき、辺りの空気がザラリとひと荒れして知覚される。そこはかとなく暴力的なアトモスフィアに身をつつまれながら
うろつき廻っていると、ひるむ気持にあらがうように、カメラマンであれば、やはり新宿を撮るほかはないとぼくは自分に言い聞かせる。
なぜならば、ここはほかならぬ新宿であり、大いなる場末なのだから。 ……森山大道
紹介記事
田中純氏書評(「紀伊國屋書店新宿本店じんぶんや:都市の表象文化論----その徴候的知のために」)
暮沢剛巳氏書評 (「10+1」2002年9月・bookreview)
本多正一氏記事(「時事通信」2002年9月配信「交錯してはんらんする都会の顔」)
鳥原学氏書評(「日本フォトコンテスト」2002年10月号・Book Shelf)
吉田修一氏書評(「日刊ゲンダイ」2002年9月19日・週間読書日記)
無記名氏紹介(読売新聞」2002年9月8日付・読書欄)
田中茂氏紹介(「文芸春秋」2002年10月号・日本の顔)
無記名氏紹介(「メンズ・ノンノ」2002年10月号・今月のカルチャー)
大竹昭子氏書評(『InterCommunication』第42号)
飯沢耕太郎氏書評(『週刊朝日』2002年9月6日号)
都築響一氏書評(「朝日新聞」2002年8月28日付・読書欄)
赤坂英人氏書評(『PEN』2002年8月15日発売号)
著者 :森山大道(もりやま・だいどう)
1938年生まれ。日本を代表する写真家の一人。欧米をはじめ、海外での評価は年を追うごとに高まっている。
最近の仕事では、 宇多田ヒカル の3rd Album「DEEP RIVER」のプロモーションポスターを新宿にて撮影。 貴重な写真パネルが全国のCDショップで限定公開された( 2002 年6月19 日〜23 日)。 7月19 日(金)から8 月24 日(土) までは、タカ・イシイギャラリーにて 「森山大道展『新宿』」 が開催。 また、7月25日には『新宿』と同時に、BBBからドキュメンタリー映画 「≒森山大道」のDVDとVHS が発売された。 (2002年8月現在。最新の動向、および詳細なプロフィールは、こちらをご覧ください)
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